テキスト ボックス: ビデオ制作の基本と応用
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ビデオ制作の基本と応用


 このテキストでは、家庭用のハンディカメラを利用し、ビデオ作品として完成させる基本的なプロセス(撮影から編集)を知っていただきます。

 

 ビデオ制作には、色々なジャンルがありますが、今回は、ドキュメンタリーやニュースといったジャンルで説明していきます。

 

<1>ドキュメンタリー

・虚構を用いずに記録に基づいて作ったもの。記録小説・記録映画の類。実録。
(ポイント)
ドキュメンタリー制作の基本は「記録する」ことにあります。
したがって、なにのために、なにを記録するのかが、制作の発端になるわけです。
 
・5W1H
「5つのWとは?」
 When、Where、Who、What、Why(いつ?どこで?だれが?なにを?なぜ?)
1つのHとは?」
 How、(どうして?)
これが、最低限の約束事と理解してください。
(このあとで、これにあてはめ、企画構成を理解してもらいます。)

 

<2>企画と構成


(1)企画を決める
 ○テーマが画になるか?
 ○テーマに発展性があるか?
 ○テーマに話題性があるか?
これらを考慮し、5W1Hにあてはめ文章でイメージしてみてください。
 

(2)構成
● 起承転結
構成とは、あるテーマに基づいて徹底的に取材し、素材として蓄え、これらをどのように組み合わせていくか、この組み合わせ方によって作品の価値観が大きく左右されます。
・一般的に、構成を立てるには「起承転結」で考えます。
「起」とは、番組の導入であり、人物や状況が紹介されます。
「承」では、状況が発展し、何かが起きます。
「転」で事態がピークとなりクライマックスに達っします。
「結」で事態が収集され、結末となります。
このようなリズムで組み合わせていくと、視聴者にも理解しやすい番組となります。
 

(3)構図
● 被写体を明確に見せること
 これは、真実を明確に伝え、視聴者の要求に答えることです。
● 美しく見せること
 視聴者の美的感覚を満足させることです。
● 劇的効果を高めるような構図
 多角的で多彩な画面構成を作ることによって、視聴者に豊かな気分を与えることです。
 

(4)ショットの特性
● ショットの種類
1- FS(フルショット)通称「ロング」と呼び、場所の説明、人の位置関係を表す時に効果的です。
-FF(フルフィギア)全身を見せる時に効果的です。通称「エフエフ」と呼びます。
-KS(ニーショット)
-WS(ウエストショット)
-BS(バストショット)誰であるか表すショットで、人物を撮る基本になります。
-UP(アップショット)
-CUP(クローズアップ)人の表情を見せ心理状態を表現できます。見る人に感銘を与える時に効果的です。
 
以上の説明は、人物を撮った場合についてでしたが、動物や静物の場合には、これらを人物の大きさに置き換えて考えればよいです。
 

(5)カメラワークと映像表現

● ズームレンズについて
1本のレンズで広角から望遠まで連続してレンズの角度を変化させることのできるレンズを「ズームレンズ」と呼びます。フォーカスは、レンズを最も望遠にして目的の被写体で合わせておけば、カメラと被写体の距離が変わらないかぎり、どのようなサイズにしてもピントが合っています。

● ズーミング
ズーミングによって、画面の中の被写体が接近してくることをズームイン(ZN)、逆に遠ざかっていく効果をズームアウト(ZO)または、ズームバック(ZB)と呼んでいます。
ズームインはショッキングなイメージを見る人に与える時に効果的です。得に早いズームイン(ZN)は注目をひき、後にくるショットの関心を一気に高めます。
 
ゆっくりとしたズームインは緩やかな、心理的高まりを作るのに効果的です。
主人公の独白などのとき、ズーミングをしている間に別のショットをインサートすると、より雰囲気が高まります。
 
ズームバックはその被写体が置かれているまわりの情景を説明し、緊張感を緩めるもので、エンディングによく使われます。
 
・ズーミングの使用目的は、つぎの通りです。
○ スムーズなサイズの変化を要する時
○ 劇的な盛上げが必要な時
○ 視聴者の視線を集中させる時
○ 目的をより明確に見せたい時
 
・つぎに使用上の注意点
○ ズーミングは多用しないように心がけます
○ クローズアップで焦点を合わせた後に、任意のサイズにします
  (一般家庭用は、フォーカスがマニュアル及びフォーカスロック)
  特に、ズームインは、こうするとピンボケをふせげます
○ ズーミングのスピードは、表情・内容によって選びます
○ 電動ズームの始めと終わりは機械的な画になりやすいので、タイミングを考えます
 

● パンとチルト
カメラを上下方向に撮ることをチルト、水平方向に振ることをパンニングと呼びます。通常両方ともパンと呼んでいます。(右パン、左パン、パンアップ、パンダウン)

・パンニングの使用目的
○ 今見せている画面外のものをみせたい時
○ 位置関係を示す時
○ 画面内に入りきらない横に広いものとか、高さの高いものを見せる時
○ 動作をフォーローする時
○ 構図を修正する時
○ リアクションを見せたい時
・注意点
○ 開始、終わりは、ガタつかないようにゆっくりと、滑らかにパンするよう心がけます。
○ どこまでパンするのか動き出す前に、あらかじめ決めておきます。
○ フォローパンは被写体のスピードに合わせ、被写体を中心に置くようにします。
○ 一般的には、極端なクローズアップでパンをしてはいけません。
 

● ドリー(移動撮影)
カメラが被写体に近づく動きを「ドリーイン(DI)」、遠ざかる動きを「ドリーバック(DB)」と呼びます。
・使用目的
○ 視野に変化をもせる時
○ 劇的な効果を盛上げる時
○ 動作をフォーローする時
○ ショットにバラエティをもたせる時
○ 構図の修正をする時
○ 移動効果を強調するため、カメラと被写体の間に並木や通行人を挟んで撮影すると、より効果的です。
 

(6)カメラアングル


構図はサイズとアングルで決まり、カメラアングルは、ショットのイメージを決定します。

● 水平ショット
人物が立ったり座った時の目の位置に相当するアングルで撮ったものを「水平ショット」と呼びます。画面的には一番安定し、特に意味がなければ水平ショットがカメラアングルの基準となります。
● ローアングル
● ハイアングル
(7)編集を前提としたビデオ撮影
編集を楽にスムーズに進めるためのテクニック
● 会話軸
対話している2人を結ぶ線を会話軸と呼びます。その軸の片側180度以内の位置で撮影したショットを編集した場合、2人の視線はつながりますが、その軸の向こう側は、視線が逆になり、画面は、つながらなくなってしまいます。
 
● 方向性
会話軸と同じように画面の中で人間や車が動くと方向性が生じます。ある地点から他の地点に進んでいくシーンを撮る場合は、各ショットとも同じ方向に進むように統一したほうが、見る人には分かりやすくなります。反対方向の画は、戻ったように見えてしまいます。
● セ−ムサイズ(通称:同ポジ)
同じサイズの画や、似かよった画はショックがあって効果がありません。
● インサートショット
主題とは別に、たとえば鳥、動物、人物の風景、空、木、花、水、など、何気ないショットを撮っておけば、主題を助けたり雰囲気を作り出しやすくなります。「フィラ」とも呼びます。
● フレームアウトのショット
人や車が、画面の中から出ていくことをフレームアウトと呼びます。逆に画面の中に入ってくることをフレームインと呼びます。このように収録しておけば、編集のつなぎがスムーズになります。
● その他
三脚を使用するか手持ちにするか、それぞれのケースによって違いますが、原則的には三脚を使用して、ブレのない安定したショットを撮っておいた方が編集が楽になります。
三脚が使えない場合でも、壁、机、木、窓、などを利用し、体の安定を図れます。手持ちでも揺れの少ない画面を得られるように訓練が必要です。